技能実習
2026.08.16
「外国人材を採用しても、長く働いてもらえるだろうか」
「育成就労制度に向けて、何を準備すべきか」
このような課題を抱える建設企業も多いのではないでしょうか。
2027年4月1日に始まる育成就労制度は、外国人材を原則3年間の就労を通じて特定技能1号水準まで育成し、人材確保につなげる制度です。
ただし、単なる人手不足の解消策ではありません。技能・日本語教育、安全管理、適正な処遇、生活支援、特定技能への移行までを見据えた受入体制が求められます。
本記事では、育成就労制度の概要と建設業の要件、外国人材の長期雇用・定着につながる具体的な取り組みを解説します。
目次
育成就労制度を正しく活用するには、まず制度の目的や特定技能制度との違いを理解することが重要です。ここでは、制度の概要と建設業で求められる主な要件を解説します。
育成就労制度は、技能実習制度に代わる新たな在留資格制度として、2027年4月1日に施行されます。
従来の技能実習制度が「技能移転による国際貢献」を目的としていたのに対し、育成就労制度は、外国人材を原則3年間で特定技能1号水準まで育成し、日本の産業を支える人材として確保することを目的としています。
育成就労を修了した外国人材は、技能試験や日本語要件を満たすことで特定技能1号へ移行し、さらに建設分野では特定技能2号を取得すれば長期的な就労も可能です。
建設業で育成就労制度を活用する場合は、一般的な制度要件に加え、建設業ならではの条件を満たさなければなりません。
主な要件は以下のとおりです。
また、受入人数には上限が設けられています。採用人数だけを先に決めるのではなく、現場の指導体制や教育体制を踏まえ、実際に育成できる人数を算定することが重要です。
育成就労制度では、外国人材を受け入れるだけでは長期雇用にはつながりません。定着率を高めるには、「働きたい」「成長したい」と思ってもらえる環境づくりが重要です。ここでは、企業が取り組みたい3つのポイントを紹介します。
外国人材が安心して働き続けるためには、入社時の研修だけでなく、継続的な育成が欠かせません。
建設業では、安全教育や技能教育、日本語教育を計画的に実施し、一人ひとりの成長に合わせた育成プログラムを用意することが重要です。
例えば、入社後は工具の使い方や安全ルールを学び、1年目は基本作業の習得、2年目は複数の作業への対応、3年目は後輩への指導や資格取得を目標にするなど、段階的な育成計画を示すことで、将来のイメージを持ちながら働けます。
外国人材の定着には、「この会社で働き続けるメリット」を伝えることも重要です。
育成就労修了後は特定技能1号、さらに建設分野では特定技能2号への移行も目指せます。そのため、昇給制度や資格取得支援、役職への登用など、キャリアアップの道筋をあらかじめ示しておくことが効果的です。
外国人材が長く働くためには、職場だけでなく生活環境への配慮も欠かせません。
住居の確保や銀行口座の開設、日本での生活ルールの説明、医療機関の案内など、来日後の生活を支援することで、不安を軽減できます。
さらに、定期的な面談を実施し、仕事だけでなく生活上の悩みも相談できる体制を整えることが大切です。
育成就労制度を円滑に運用するには、採用が決まってから準備を始めるのでは遅すぎます。制度開始までに受入体制を整え、計画的に導入を進めることが成功への近道です。
まず確認したいのが、自社が外国人材を受け入れられる体制になっているかです。
建設業許可やCCUS登録、分野別協議会への加入状況だけでなく、現場で指導できる担当者や生活相談担当者、安全教育を実施できる環境なども整えておく必要があります。
育成就労制度では、採用して終わりではありません。
入国前の準備から入社後の教育、定期面談、日本語学習、資格取得支援、特定技能1号への移行までを一連の流れとして計画することが大切です。
育成就労制度は新しい制度であり、施行までに運用ルールが更新される可能性があります。
そのため、自社だけで制度を理解しようとするのではなく、専門機関へ相談しながら準備を進めることをおすすめします。
受入人数の考え方や必要書類、対象職種、監理支援機関との連携方法などは企業ごとに異なるため、早い段階で相談することで、スムーズな導入につながります。
育成就労制度を導入しても、受け入れるだけでは人材は定着しません。長く活躍してもらうためには、採用から育成、キャリア形成、生活支援までを一体的に考えることが重要です。ここでは、外国人材の長期雇用・定着につながるポイントを解説します。
育成就労制度では、外国人材を原則3年間で特定技能1号水準まで育成することが前提となります。
そのため、採用時点から「3年間でどのような技能を習得してもらうのか」「どのタイミングで資格取得や昇給を行うのか」を明確にした育成計画を作成することが大切です。
外国人材が安心して働き続けるためには、努力が正当に評価される仕組みが欠かせません。
技能レベルや資格、日本語能力、担当できる業務に応じて昇給や役割を設定し、育成就労修了後は特定技能1号、さらに特定技能2号や職長へのキャリアパスを示すことで、長期的な定着につながります。
長期雇用を実現するには、仕事だけでなく生活面の支援も重要です。
安全教育や定期面談を実施するとともに、住居の確保や日本語学習の支援、生活相談窓口の設置など、外国人材が安心して暮らせる環境を整えましょう。
働きやすい環境づくりは、離職防止だけでなく、企業の信頼性向上や採用力強化にもつながります。
育成就労制度について、建設業の企業からよく寄せられる質問をまとめました。
育成就労制度は、2027年4月1日に施行予定です。現在は制度開始に向けて関連するルールや運用方法が順次整備されています。
制度を活用する予定がある場合は、最新情報を確認しながら早めに準備を進めましょう。
技能実習制度は国際貢献を目的としていましたが、育成就労制度は外国人材を育成し、日本の産業を支える人材として確保することを目的としています。
また、育成就労修了後は特定技能1号への移行を前提としている点も大きな違いです。
はい。建設分野は特定技能2号の対象分野です。必要な技能や試験要件を満たせば、特定技能2号へ移行し、長期的に日本で働くことが可能です。
そのため、採用時から将来のキャリアパスを示すことが定着率向上につながります。
はい。初めて外国人材を受け入れる企業や、育成就労制度への対応に不安がある企業は、公益社団法人東京都建設事業協会へ相談することをおすすめします。
受入れに必要な準備や制度の活用方法など、自社の状況に合わせたアドバイスを受けられます。
育成就労制度は、人手不足を補うためだけの制度ではありません。外国人材を育成し、長期的に活躍してもらうための制度です。
制度を最大限活用するためには、採用だけでなく、教育、安全管理、適正な処遇、生活支援、キャリア形成までを一体的に考える必要があります。
「外国人材から選ばれる会社」になることが、これからの建設業の競争力につながります。
育成就労制度の導入を検討している場合は、制度内容や受入要件を正しく理解したうえで、自社に合った受入体制を整えることが重要です。
公益社団法人東京都建設事業協会では、外国人材の受入れに関する相談や制度活用のサポートを行っています。育成就労制度への対応を検討している企業は、早めに相談し、自社に最適な受入計画を進めていきましょう。