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転籍制限はどう緩和される?育成就労における「本人意向の転籍」の条件とリスク対策

2026.07.15

育成就労制度では、技能実習制度より転籍制限が緩和されることから、「外国人材が自由に転職できるのでは」と疑問に思う方もいるでしょう。

本記事では、育成就労制度における転籍制限の見直し内容や転籍の条件、企業が押さえておくべき実務上のポイントをわかりやすく解説します。

制度改正への対応を進めたい企業担当者や監理支援機関の方は、ぜひ参考にしてください。

目次

  • 育成就労制度で転籍制限はどう変わるのか
    • 技能実習制度から育成就労制度への見直し
    • 転籍制限が見直された背景
    • 制度の施行時期と現在の状況
  • 育成就労制度における転籍の基本ルール
    • 転籍は「自由化」ではなく条件付きで認められる
    • 転籍できる期間は分野ごとに異なる
    • 転籍できるのは原則として同一産業分野内
    • 新たな育成就労計画の認定が必要
  • 本人の意向による転籍に必要な条件
    • 在籍期間(転籍制限期間)を満たしていること
    • 技能評価・日本語能力の基準を満たしていること
    • 転籍先の受入れ機関が要件を満たしていること
    • 同一産業分野内での転籍であること
    • 分野別運用方針の追加要件を満たしていること
  • 転籍手続の流れ
  • 転籍制度で想定されるリスクと対策
  • まとめ

育成就労制度で転籍制限はどう変わるのか

育成就労制度では、技能実習制度で課題となっていた転籍制限が見直されます。ただし、転籍は自由化されるわけではなく、一定の条件を満たした場合のみ認められます。

ここでは、制度創設の背景や転籍制限が見直された理由、施行時期について解説します。

技能実習制度から育成就労制度への見直し

育成就労制度は、技能実習制度を発展的に見直して創設される新制度です。

技能実習制度では、実習先を変更しにくいことが課題となっていました。そこで育成就労制度では、「人材育成」と「人材確保」を目的とし、一定の条件のもとで本人の意向による転籍を認める仕組みが導入されます。

転籍制限が見直された背景

転籍制限の見直しは、外国人材の権利保護を強化することが目的です。

主な見直し内容は以下のとおりです。

  • 一定の条件で本人の意向による転籍を認める
  • 人材育成と人材確保を制度目的として明確化する
  • 分野ごとに転籍制限期間を設ける
  • 技能や日本語能力などの要件を設定する

外国人材の保護を図りながら、企業の人材育成にも配慮した制度設計となっています。

制度の施行時期と現在の状況

育成就労制度は2024年6月に改正法が公布され、本格施行は2027年4月1日です。

現在は制度開始に向けた準備段階であり、実務上は現行の技能実習制度が適用されています。

育成就労制度における転籍の基本ルール

育成就労制度では、本人の意向による転籍が認められる一方で、人材育成を目的とした制度であることから一定のルールが設けられています。

ここでは、転籍に関する基本的なルールを解説します。

転籍は「自由化」ではなく条件付きで認められる

育成就労制度では、本人が希望すれば自由に転籍できるわけではありません。転籍するには、次の条件を満たす必要があります。

  • 転籍制限期間を経過している
  • 技能評価試験などの要件を満たしている
  • 日本語能力の基準を満たしている
  • 転籍先が受入れ要件を満たしている
  • 新たな育成就労計画の認定を受ける

転籍できる期間は分野ごとに異なる

本人の意向による転籍は、分野ごとに定められた転籍制限期間を経過した後に認められます。

当面は1年以上2年以下の範囲で設定される予定です。

項目 内容
転籍制限期間 分野ごとに1年以上2年以下
対象 本人の意向による転籍
目的 人材育成と権利保護の両立
転籍時期 他の要件を満たした後に申請可能

なお、分野によっては2年目以降の待遇改善などが求められる場合があります。

転籍できるのは原則として同一産業分野内

転籍は、原則として同一の育成就労産業分野内でのみ認められます。

例えば、介護分野から別の介護事業所へ転籍することはできますが、介護分野から製造業分野へ転籍することは原則できません。

新たな育成就労計画の認定が必要

転籍後は、新たな育成就労計画を作成し、認定を受ける必要があります。

育成就労計画には、主に次の内容を記載します。

  • 育成就労の期間
  • 業務内容
  • 習得する技能
  • 日本語能力の目標
  • 指導・支援体制

雇用契約を結ぶだけでは転籍は完了せず、制度上の認定手続も必要です。

本人の意向による転籍に必要な条件

本人の意向による転籍は、希望すれば認められるものではありません。在籍期間や技能、日本語能力など、制度で定められた複数の要件を満たす必要があります。

ここでは、転籍するために必要な条件を解説します。

在籍期間(転籍制限期間)を満たしていること

本人の意向による転籍には、分野ごとに定められた転籍制限期間を経過していることが必要です。

当面は1年以上2年以下の範囲で設定される予定であり、期間中は原則として本人の意向による転籍は認められません。

また、転籍制限期間はすべての産業分野で共通ではなく、分野ごとに異なるため、事前に確認しておきましょう。

技能評価・日本語能力の基準を満たしていること

転籍するには、在籍期間だけでなく、一定の技能と日本語能力も必要です。

主な要件は以下のとおりです。

  • 技能検定試験基礎級などの技能評価試験に合格していること
  • 日本語能力A1相当以上を満たしていること
  • 分野別運用方針で定められた追加要件を満たしていること

必要となる試験や評価方法は産業分野によって異なるため、最新の運用方針を確認することが重要です。

転籍先の受入れ機関が要件を満たしていること

本人だけでなく、転籍先の受入れ機関も制度上の要件を満たす必要があります。

例えば、次のような体制が求められます。

  • 育成就労外国人を受け入れる基準を満たしている
  • 新たな育成就労計画を作成し、認定を受ける
  • 労働関係法令や出入国関係法令を遵守している

また、教育・生活支援体制を整備するとともに、分野別運用方針で定められた追加要件にも対応しなければなりません。

同一産業分野内での転籍であること

育成就労制度では、転籍は原則として同一の育成就労産業分野内でのみ認められます。

例えば、介護分野から別の介護事業所への転籍は可能ですが、介護分野から製造業分野へ転籍することは原則できません。

技能を継続的に習得するという制度目的を維持するためにも、転籍先は現在と同じ産業分野であることが条件となります。

分野別運用方針の追加要件を満たしていること

育成就労制度では、共通ルールに加えて、産業分野ごとに分野別運用方針や上乗せ基準が定められます。

そのため、転籍を希望する際は、次のような項目も確認しましょう。

  • 転籍制限期間
  • 技能評価・日本語能力の基準
  • 転籍先の追加要件
  • 分野特有の運用ルール

制度を正しく活用するためには、共通ルールだけでなく、自社が属する産業分野の運用方針まで確認しておくことが大切です。

転籍手続の流れ

本人の意向による転籍では、制度要件の確認から育成就労計画の認定まで、複数の手続きを順番に進める必要があります。

一般的な手続きの流れは以下のとおりです。

  1. 本人からの相談・申出
    転籍理由や在籍期間、技能評価、日本語能力などを確認します。
  2. 制度要件の確認
    転籍制限期間や技能・日本語能力、同一産業分野への転籍など、制度上の要件を満たしているか確認します。
  3. 転籍先の選定・雇用契約の締結
    転籍先を選定し、賃金や労働条件、支援内容を確認したうえで新たな雇用契約を締結します。
  4. 育成就労計画の認定・在留手続
    転籍先が新たな育成就労計画を作成し、認定申請や在留資格に関する手続きを行います。
  5. 転籍後の支援・定着フォロー
    定期面談や日本語学習支援、生活支援などを実施し、転籍後の定着をサポートします。

転籍では、雇用契約の締結だけでなく、制度上の認定や行政手続も必要です。受入れ機関は計画的に準備を進め、転籍後も継続した支援を行うことが重要です。

転籍制度で想定されるリスクと対策

育成就労制度では転籍制限が緩和される一方で、受入れ機関には適切な制度運用が求められます。不適切な対応は労務トラブルや行政上のリスクにつながるため、事前に対策を講じることが重要です。

主なリスクと対策は以下のとおりです。

リスク 主な対策
本人の意思確認が不十分 やさしい日本語や通訳を活用し、十分な説明を行う
制度要件の確認漏れ 転籍制限期間や技能・日本語能力を事前に確認する
書類・行政手続の不備 育成就労計画の認定や在留資格手続きを漏れなく実施する
労務トラブルの発生 労働条件を書面で明示し、相談窓口を設置する
転籍後の早期離職 定期面談や生活支援、日本語学習支援を継続する

また、転籍を理由とした不利益な取扱いや違約金の請求などは認められません。企業は外国人材が安心して相談できる体制を整えるとともに、制度や労働法令を遵守した運用を徹底することが重要です。

まとめ

育成就労制度では、技能実習制度より転籍制限が緩和されますが、本人の希望だけで自由に転籍できるわけではありません。在籍期間や技能・日本語能力など、制度で定められた要件を満たす必要があります。

外国人技能実習生や育成就労制度への対応を検討している企業は、公益社団法人東京都建設事業協会への相談がおすすめです。

同協会は、優良監理団体(一般監理事業)として、技能実習生の募集・受入れから技能実習計画の作成、入国後の巡回・生活支援、日本語教育まで一貫してサポートしています。

外国人材の受入れを安心して進めたい企業は、東京都建設事業協会へ相談してみてはいかがでしょうか。

 

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