技能実習
2026.04.20
2027年4月(令和9年4月)は、外国人雇用に関わる企業にとって大きな転換点となるタイミングです。
これまで多くの企業が活用してきた技能実習制度は、新制度「育成就労制度」へと移行し、運用ルールも大きく変わります。
なかでも実務への影響が大きいのが、「技能実習3号に進めなくなるケースが発生する」という点です。
これまで当然のように想定されていた“最大5年間の在留”が、条件次第では途中で途切れる可能性があります。
本記事では、制度変更の全体像を踏まえたうえで、技能実習3号へ移行できなくなる具体的な条件や、企業が今すぐ取るべき実務対策を整理し解説していきます。
この記事の3行まとめ
令和9年4月は、外国人材の受け入れの考え方そのものが変わるタイミングです。
ここでは、なぜ制度が変わるのか、何が変わるのかを解説します。
まず押さえておくべきは、技能実習制度がいきなり完全に廃止されるわけではないという点です。
制度としては、外国人材の育成と確保を目的とした新制度「育成就労制度」へ移行します。
従来の技能実習は「国際貢献(技能移転)」が建前でしたが、実態としては人手不足を補う側面が強くなっていました。
こうした制度と実態のズレを是正するため、より実態に即した制度へと再設計されています。
今回の制度変更で最も重要なのが、令和9年4月1日という基準日です。
この日を境に、制度の扱いは大きく変わります。
つまり、企業にとっては「いつ受け入れたか」「どの段階にいるか」によって、今後の選択肢が大きく変わります。
特に、技能実習2号から3号へ進む予定だった人材については、この基準日に間に合うかどうかが分岐点になります。
技能実習制度では、最大5年間の在留が可能であり、その後半を担うのが技能実習3号です。
しかし今回の制度移行により、この3号は条件を満たした場合にのみ進める仕組みに変わります。
具体的には、
といった要件をクリアする必要があります。
その結果、これまでのように全員が5年間在留できる前提ではなくなり、3年で帰国や別制度への移行が必要になるケースも発生します。
この制度変更の本質は、人材をどれだけ長く確保できるかが不確実になる点にあります。
これまでの技能実習では、計画通りに進めば最大5年の在留が見込めました。しかし今後は、
といった要因によって、3号へ進めず途中で離脱するリスクが生じます。
実務で重要なのは、自社の実習生が3号に進めるのかどうかという点です。
ここでは、3号に移行できなくなる代表的な条件を4つに分けて解説します。
最も重要かつ影響が大きいのが、この日付条件です。
技能実習3号に進むためには、令和9年4月1日時点で技能実習2号を1年以上実施していることが必要になります。
逆算すると以下の通りです。
ここで重要なのは、来日からの期間ではなく、2号としての在留・実施期間で判断される点です。
企業側でよくあるミスとして、
といったケースがありますが、これらは誤りです。
技能実習3号は、すべての企業が実施できるわけではありません。
前提として、
ことが必要です。
特に重要なのは監理団体の区分です。
つまり、監理団体の体制によっては、制度上3号に進めないケースが発生します。
技能実習制度は厳格に管理されているため、運用上の問題がある場合は評価に影響します。
代表的な例としては以下の通りです。
企業側が軽微と考える内容でも、制度上はマイナス評価となり、3号への移行に影響する可能性があります。
3号への移行は、複数の手続きが連動して進みます。
主な流れは以下の通りです。
これらのうち一つでも遅れると、全体のスケジュールに影響します。
特に多いのが、
といったケースです。
制度変更のタイミングと重なることで、本来であれば進めたはずの人材が3号に進めなくなる事態が発生します。
ここまで見てきた通り、技能実習3号に進めるかどうかは制度そのものよりも「管理と準備」で決まります。
つまり、早い段階で状況を把握し、必要な対応を取ることで、多くのリスクは回避可能です。
以下では、企業が実務としてすぐに取り組むべき対策を整理します。
最優先で行うべきなのは、実習生ごとの状況整理です。
特に重要なのは、以下の情報です。
この3つを正確に把握し、2027年4月1日時点で「2号1年以上」に該当するかを確認します。
この作業を行うことで、
を明確に分類できます。
まずはこの整理を行わないと、対策の優先順位が決まりません。
3号に進める見込みがある人材については、手続きを前倒しで進めることが重要です。
技能検定、実習計画認定、一時帰国、在留資格変更といった手続きはすべて連動しており、どれか一つでも遅れると全体に影響します。
制度変更直前は申請や試験が集中しやすく、想定以上に時間がかかるケースもあるため、余裕を持ったスケジュール設計が不可欠です。
すべての実習生が3号に進めるわけではありません。
そのため、進めない人材については、早い段階で次の選択肢を用意する必要があります。
主な選択肢は以下の通りです。
特に特定技能は有力な選択肢ですが、職種の関連性や受け入れ体制などの条件があります。
事前に適用可否を確認しておくことが重要です。
制度変更に対応するためには、自社だけでなく監理団体との連携も重要です。
監理団体が3号に対応可能な区分かどうか、書類対応やスケジュール管理の体制が整っているか、制度変更への理解と対応方針が共有されているかを確認する必要があります。
場合によっては、監理団体の見直しも含めた検討が必要になります。
制度移行期は監査やチェックが厳しくなる傾向があります。
そのため、運用の適正性を改めて見直すことが重要です。
重点的に確認すべきポイントは以下の通りです。
過去に問題がなかった企業でも、見直しを行うことでリスクを下げることができます。
令和9年4月の制度変更は、単なるルール改正ではなく、外国人材の受け入れにおける前提そのものを変える転換点です。
そのため企業に求められるのは、制度変更を正しく理解したうえで、早期に対応を進めることです。
具体的には、
といった対応が不可欠です。
また、制度対応を確実に進めるうえでは、監理体制の質も重要なポイントになります。
たとえば、公益社団法人東京都建設事業協会であれば、技能実習1号・2号に加えて3号まで一貫して対応できる体制が整っています。
同協会では、実習生の厳正な選考から入国手続き、入国後の生活・就労支援まで一貫してサポートしており、制度変更に伴う複雑な手続きや運用にも対応しやすい点が特徴です。
制度そのものを変えることはできませんが、こうした支援体制を活用することで、運用リスクを抑えながら安定した受け入れを実現することが可能です。
令和9年4月はゴールではなく分岐点です。今のうちに状況を整理し、適切なパートナーとともに準備を進めることが、今後の人材確保を左右するといえるでしょう。