技能実習
2026.03.14
技能実習制度は2027年までに育成就労制度へ段階的に移行する予定
技能実習3号には最終受付のタイミングと経過措置が設けられている
制度変更に備え、受け入れ企業は移行スケジュールを早めに把握することが重要
技能実習制度は、日本の外国人受け入れ制度の中心として長年運用されてきました。
しかし制度の課題が指摘されるなかで、政府は制度の見直しを進め、2027年までに「育成就労制度」へ移行する方針を決定しています。
この制度変更により、現在技能実習を受け入れている企業の多くが気になるのが、技能実習3号の最終受付日や経過措置の内容ではないでしょうか。
本記事では、育成就労制度の概要や技能実習制度からの移行スケジュール、技能実習3号の最終受付のタイミングなどを整理し、制度変更のポイントをわかりやすく解説します。
目次
育成就労制度は、外国人材の技能育成と日本での就労を両立させる新しい制度です。
これまでの技能実習制度は「技能移転による国際貢献」を目的としていましたが、実際には人手不足対策として利用されるケースが多く、制度の建前と実態に大きな乖離がありました。
そこで新制度では、外国人材の育成と日本の人材確保の両立を制度目的として明確化しています。
主な特徴は以下の通りです。
外国人材を「労働者」として位置づけた制度設計
一定条件のもとで転籍(職場変更)を認める仕組み
特定技能制度への移行を前提としたキャリア設計
つまり、育成就労制度は単なる技能移転制度ではなく、外国人材が段階的にキャリアを築ける仕組みとして設計されている点が大きな特徴です。
育成就労制度と技能実習制度には、いくつかの大きな違いがあります。
| 項目 | 技能実習制度 | 育成就労制度 |
|---|---|---|
| 制度目的 | 技能移転による国際貢献 | 人材育成と人手不足対策 |
| 在留資格 | 技能実習 | 育成就労 |
| 転籍 | 原則不可 | 一定条件で可能 |
| キャリア | 原則終了 | 特定技能へ移行可能 |
このように、新制度では外国人材のキャリア形成や労働環境の改善が重視されています。
ただし、制度はすぐに全面的に切り替わるわけではありません。
現在の技能実習制度から新制度へは、数年間の経過措置を経て段階的に移行する予定です。
ここでは、制度改正の流れと、企業実務に影響する主要な日程を整理します。
育成就労制度は、2024年6月21日に公布された改正法をもとに創設され、2027年4月1日に施行予定です。
政府はこの制度により、技能実習制度を見直し、外国人材の育成と人材確保を両立する仕組みへ移行する方針です。
制度の流れは次の通りです。
2024年6月21日
育成就労制度を創設する改正法が公布
2024年〜2026年
制度設計や受け入れ体制の準備
2027年4月1日
育成就労制度が施行、技能実習制度の新規受付は終了
ただし、施行日前に認定された技能実習計画については、経過措置により施行後も一定期間継続が可能です。
そのため企業は、旧制度の運用と新制度への移行準備を並行して進める必要があります。
制度移行にあたり、特に押さえたい主な日程は次の通りです。
| 時期 | 主な動き | 企業が意識すべき点 |
|---|---|---|
| 2026年4月15日 | 監理支援機関の許可申請受付開始 | 新制度で支援を受ける体制整備を進める |
| 2026年9月1日 | 育成就労計画の認定申請受付開始 | 2027年4月以降の受け入れを見据えて計画作成を始める |
| 2027年3月31日 | 技能実習計画認定申請の最終期限 | 旧制度での新規申請はこの日までに完了が必要 |
| 2027年4月1日 | 育成就労制度施行 | 以後は新規の技能実習計画申請が不可になる |
| 2027年6月30日 | 施行前に認定・COE交付を受けた者の入国期限 | 旧制度で受け入れる場合は入国時期まで逆算管理が必要 |
上記の通り、企業実務では2026年から準備が本格化します。
特に2027年4月以降は、新規の技能実習計画認定申請ができなくなるため、従来どおりの感覚で準備していると間に合わない可能性があります。
また、旧制度を使った受け入れであっても、施行前に認定と在留資格認定証明書の交付を受けた人は2027年6月30日までに入国する必要があると整理されています。
ここでは、技能実習3号の受付期限と、制度移行における実務上の考え方を整理します。
技能実習制度は、実習段階ごとに在留資格が分かれており、最長で5年間の実習が可能です。
実習の流れは次のようになっています。
| 区分 | 期間 | 概要 |
|---|---|---|
| 技能実習1号 | 1年目 | 基礎技能の習得期間 |
| 技能実習2号 | 2〜3年目 | 技能の実践・熟練 |
| 技能実習3号 | 4〜5年目 | さらに高度な技能の習得 |
技能実習3号は、優良な監理団体と実習実施者に限り認められる制度で、実習生は最長5年間日本で技能実習を続けることが可能です。
ただし、制度が育成就労制度へ移行することで、技能実習3号の新規申請ができる期限にも影響が出ると考えられています。
技能実習制度の新規申請は、育成就労制度の施行日前日である2027年3月31日までとされています。
そのため、技能実習3号についても原則として次のように整理できます。
2027年3月31日まで
技能実習制度による新規申請が可能
2027年4月1日以降
新規の技能実習計画は申請不可
ただし、すでに技能実習2号として在留している実習生については、経過措置により3号への移行が認められるケースもあります。
育成就労制度の施行に伴い、技能実習制度は段階的に終了していきます。ただし、制度移行によって現場が混乱しないよう、既存の技能実習生や受け入れ企業に対しては一定の経過措置が設けられています。
ここでは、企業が実務上理解しておくべき経過措置の内容を整理します。
2027年4月1日に育成就労制度が施行されると、技能実習制度の新規申請は原則として終了します。
しかし、施行前に認定された技能実習計画については、すぐに制度が打ち切られるわけではありません。
すでに認定を受けている技能実習については、実習期間の満了まで継続することが可能です。
例えば、次のようなケースです。
2026年に技能実習計画が認定されている
2027年4月以降も実習期間が残っている
この場合、制度施行後であっても、計画に基づき実習を継続することができます。
つまり、制度移行後も数年間は技能実習と育成就労が並行する期間が生じると考えられています。
制度移行期には、すでに日本で実習している外国人材のキャリアを守るため、技能実習2号から3号への移行についても経過措置が設けられる予定です。
具体的には、次のような考え方になります。
制度施行前に技能実習として在留している
技能試験などの条件を満たしている
このような場合には、制度施行後でも技能実習3号へ移行できる可能性があります。
ただし、具体的な申請期限や条件は個別のケースによって変わるため、企業側は早めに実習生の在留期間や試験スケジュールを確認しておくことが重要です。
育成就労制度への移行は、外国人材の受け入れを行う企業にとって大きな制度変更です。
ここでは、制度移行に向けて企業が押さえておきたいポイントを整理します。
まず重要になるのが、現在の受け入れ計画を制度移行のスケジュールに合わせて見直すことです。
特に次の点は確認しておく必要があります。
技能実習生の在留期間
技能実習2号から3号への移行予定
新規受け入れのタイミング
例えば、技能実習制度を利用した新規受け入れは2027年3月31日までとされているため、それ以降の受け入れは育成就労制度での対応になります。
制度移行期には、申請手続きや制度要件が変わる可能性があります。
そのため、企業単独で対応するのではなく、監理団体や専門機関と連携して情報を確認することが重要です。
特に次のような内容は、専門機関に相談しながら進めると安心です。
技能実習計画の申請期限
技能実習3号への移行の可否
育成就労制度での受け入れ準備
育成就労制度では、外国人材のキャリア形成や労働環境の改善が重視される見込みです。
そのため、企業側にもこれまで以上に適切な受け入れ体制の整備が求められる可能性があります。
例えば、次のような取り組みが重要になります。
外国人材への教育・指導体制の整備
日本語教育のサポート
生活支援や相談体制の整備
こうした取り組みは制度対応だけでなく、外国人材の定着率向上にもつながります。
育成就労制度は、技能実習制度を見直し、外国人材の育成と人材確保を両立する新しい制度として2027年に施行予定です。
制度移行にあたり、企業が押さえておきたいポイントは次の通りです。
技能実習制度の新規申請は2027年3月31日まで
施行前に認定された技能実習は経過措置により継続可能
技能実習と育成就労が一定期間並行する可能性がある
受け入れ計画を早めに見直し、監理団体や専門機関と連携しながら準備を進めることが、外国人材の受け入れを安定して続けるためのポイントです。
制度の詳細や受け入れ体制の整備について不安がある場合は、専門団体へ相談することも有効な選択肢です。
たとえば、公益社団法人東京都建設事業協会では、外国人材の受け入れや制度変更に関する情報提供・相談対応などを行っています。
制度移行期は情報が更新されることも多いため、こうした団体を活用しながら最新情報を確認していくとよいでしょう。