技能実習
2026.03.14
目次
技能実習制度は廃止され、2027年までに「育成就労制度」へ段階的に移行する予定である
育成就労制度では転籍要件の緩和など、企業の管理体制・雇用責任がより重視される
企業は今から受け入れ体制・社内規程・監理団体との契約内容を見直す必要がある
技能実習制度は、これまで外国人労働者受け入れ制度として活用されてきました。
しかし、制度の趣旨と実態の乖離や人権保護の課題が指摘され、政府は制度を抜本的に見直す方針を示しています。
その中心となるのが、新たに創設される「育成就労制度」です。
本記事では、技能実習から育成就労への移行スケジュールを整理するとともに、企業が今から着手すべき具体的な準備事項を解説します。
ここでは、なぜ技能実習制度が廃止され、新たに育成就労制度が創設されるのか、その背景を整理します。
技能実習制度は本来、「開発途上地域への技能移転」を目的とした国際貢献制度として創設されました。
しかし実際には、国内の人手不足を補う労働力確保の手段として運用される場面が多く見られ、以下のような課題が指摘されてきました。
転籍(受け入れ企業の変更)が原則認められないことによる人権リスク
長時間労働や賃金未払いなどの不適切事例
実習という建前と実態労働の乖離
監理団体・受け入れ企業の管理体制のばらつき
国際社会からも制度の在り方に対する厳しい指摘があり、抜本的な見直しが避けられない状況となっていました。
こうした課題を受け、政府は技能実習制度を廃止し、新たに「育成就労制度」を創設する方針を示しました。
育成就労制度の主な目的は、以下のとおりです。
人材育成と人材確保を制度目的として明確化
外国人材の権利保護の強化
特定技能制度との連続性の確保
労働市場としての透明性向上
特に大きな変更点は、「特定技能1号への円滑な移行」を前提とした制度設計です。
技能実習は“帰国前提”の制度でしたが、育成就労は“国内定着・戦力化”を見据えた仕組みに転換されます。
ここでは、技能実習制度から育成就労制度へ移行するまでのスケジュールを整理します。
政府方針では、技能実習制度は廃止され、新制度である育成就労制度へ移行することが決定されています。
想定される大まかな流れは以下のとおりです。
法改正の成立
関連政省令・運用要領の整備
施行日以降、新規受け入れは育成就労へ一本化
既存の技能実習生は経過措置のもとで対応
重要なのは、「技能実習が即時廃止されるわけではない」という点です。
一定期間は経過措置が設けられ、既存の技能実習生については従前の制度に基づく運用が続きます。
2027年は、制度移行の実務上の大きな節目になると見込まれています。
この時期までに企業が対応すべきポイントは、主に次の3つです。
新規受け入れスキームの再設計
既存実習生の進路(特定技能への移行等)の整理
社内体制・契約関係の見直し
これまで「3年間で帰国」という前提で設計していた教育計画や戦力化計画は、大きく見直す必要があります。
ここでは、技能実習制度と比較しながら、育成就労制度の主な変更点を整理します。制度の違いを明確に把握することで、自社の受け入れ体制や人材戦略をどのように見直すべきかが見えてきます。
技能実習制度と育成就労制度では、制度目的そのものが大きく異なります。
技能実習制度の目的
建前上は「技能移転による国際貢献」
帰国を前提とした制度設計
育成就労制度の目的
日本国内での人材育成
人手不足分野における人材確保
特定技能への円滑な接続
育成就労制度では「国内で育成し、戦力化する」ことが明確に位置づけられます。
そのため、企業には形式的な実習計画ではなく、実効性のある育成計画が求められます。
技能実習制度では、原則として転籍が認められていませんでした。
技能実習制度の課題
原則転籍不可
不適切な環境でも離職が困難
人権保護の観点から国際的な批判
一方、育成就労制度では、一定条件のもとで転籍を認める方向です。
育成就労制度の方向性
やむを得ない事情以外でも一定条件で転籍可能
労働市場としての透明性向上
企業間の人材流動性の確保
これにより、企業は「囲い込み」ではなく「定着させる努力」がより重要になります。
育成就労制度は、特定技能1号への移行を前提とした設計です。
制度間の位置づけ
育成就労:基礎的技能の習得期間
特定技能1号:即戦力としての就労段階
これまで曖昧だった制度間の接続が明確になり、評価基準の整理や技能水準の可視化、キャリアパスの明確化が進められる見込みです。
企業は「3年限定の実習」ではなく、「中長期的な人材育成プラン」を設計する必要があります。
監理団体や登録支援機関の在り方も見直されます。
見直しの方向性
許可基準の厳格化
監督体制の強化
不適切事例への対応強化
企業側も、現在の監理団体の体制確認や契約内容の再精査を行う必要があります。
ここでは、育成就労制度への移行を見据え、企業が優先的に取り組むべき準備を整理します。
制度の詳細を待つのではなく、方向性が示されている今から体制整備を進めることが重要です。
まずは現在の受け入れ体制を総点検します。
確認ポイント
賃金・労働時間は適正か
生活支援・相談体制は機能しているか
日本語・技能教育は計画的に実施されているか
転籍要件の見直しが進む中、環境整備が不十分な企業は人材流出リスクが高まります。
育成就労制度では「育成」が制度の中心です。
見直すべき点
到達目標の明確化
特定技能への移行想定
評価基準の可視化
「3年限定」前提から、「中長期戦力化」前提への転換が求められます。
制度間の連続性が強化されるため、育成就労から特定技能への移行設計が重要になります。
戦略のポイント
継続雇用の方針整理
試験対策支援の検討
賃金テーブルの再設計
外国人材を将来の戦力として位置づけられるかが、制度移行後の競争力を左右します。
ここでは、技能実習から育成就労への移行が企業経営に与える影響を整理します。
まず意識すべきは、人材流出リスクの高まりです。
転籍要件が見直されることで、労働環境や待遇に課題がある企業は選ばれにくくなります。
また、育成計画の不備や管理体制の甘さは、行政指導や企業評価の低下につながる可能性があります。
一方で、制度改正は中長期的な人材戦略を構築する好機でもあります。
育成就労から特定技能へと段階的に戦力化できれば、安定した人材確保が可能になります。
さらに、外国人材を積極的に育成・定着させる企業姿勢は、採用市場におけるブランド向上にもつながるでしょう。
ここでは、制度移行にあたり、経営層や人事担当者が実務上どの点を優先的に押さえるべきかを整理します。
まず重要なのは、外国人材の受け入れを単なる人手不足対策として扱わないことです。
育成就労制度では、人材育成と定着が制度の中心になります。つまり、「短期的な労働力」ではなく「中長期的な戦力」としてどう活かすかが問われます。
経営層は、
自社で何年程度の定着を想定するのか
将来的に中核人材へ育成するのか
特定技能・高度人材への発展を目指すのか
といった方向性を明確にする必要があります。
制度改正後は、管理体制の透明性がより重視されます。
人事部門は、
労働時間管理の適正化
賃金計算の正確性
ハラスメント防止体制
相談窓口の明確化
などを再点検する必要があります。
問題発生後の対応ではなく、未然防止の仕組みづくりが重要です。
育成就労制度では、「育成していること」を客観的に示せる体制が求められます。
そのため、技能到達レベルの段階設計や定期評価の仕組み、日本語能力向上の目標設定などを数値化・可視化しておくことが望ましいでしょう。
曖昧な育成計画ではなく、説明可能な仕組みへ転換することが実務対応の鍵となります。
技能実習から育成就労への移行は、制度対応だけで乗り切れるものではありません。
2027年を見据えた戦略的対応を進めるうえで、「誰と組むか」は極めて重要な経営判断です。
外国人技能実習生の受入れを検討・継続している企業にとって、公益社団法人東京都建設事業協会は有力な選択肢の一つといえるでしょう。
同協会は昭和36年設立、60年以上にわたり東京都の公共事業を支えてきた実績を持ち、公益社団法人として高い公共性と信頼性を確立しています。
実習生とのトラブルにも24時間365日体制で専門スタッフが対応
技能実習機構・入国管理局への申請や各種書類の作成を補助
優良監理団体として技能実習1号〜3号まで対応可能
職業訓練センターによる実践的な人材育成力
さらに、実習生の厳正な選考から、申請手続き支援、入国前準備、入国後の巡回監査・生活サポートまで、一貫した支援体制を整えています。
制度が変わる今だからこそ、安定した実績と支援体制を持つ監理団体と連携し、育成就労時代に対応できる強固な受け入れ基盤を構築していきましょう。