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トラブルを防ぐ!技能実習生とのコミュニケーション術

2025.10.06

外国人技能実習制度を活用する企業が増えるなか、現場で最も多く聞かれるのが「思っていたよりも意思疎通が難しい」という声です。

この記事では、技能実習生とのコミュニケーションで起こりやすい誤解やトラブルの傾向を整理し、現場ですぐに実践できるコミュニケーションの工夫、そして企業側の受け入れ姿勢について具体的に解説します。

実習生との信頼関係を築き、安全で前向きな職場づくりを目指す方のヒントになれば幸いです。

目次

  • 技能実習生と起こりがちなトラブルとは?
    • 言葉は通じても、意図が伝わらない
    • 習慣や価値観の違いが摩擦を生む
    • 「冷たい」「馴れ馴れしい」のギャップ
  • 背景の違いを理解するために|言語・文化・宗教の壁と向き合う
    • 言語の壁は「単語」より「文脈」の問題
    • 文化・価値観の違いはコミュニケーションの土台を揺るがす
    • 宗教や生活習慣への無理解が関係悪化を招くことも
  • 現場でできる!伝え方の工夫と報連相のコツ
    • やさしい日本語でシンプルに伝える
    • 一文一指示で、順序を明確に
    • 理解度は「聞く」より「言わせる」
  • 言葉以外の工夫 |非言語コミュニケーションを活かす
    • 表情や態度が「安心感」を生む
    • ジェスチャーや指差しで直感的に伝える
    • 実習生の様子から気づく力も大切
  • 日本人社員ができること|職場づくりと意識の見直し
    • 「労働力」ではなく「人」として向き合う
    • 職場全体で情報を共有し、支える
    • 日本人社員への研修も取り入れる
  • 技能実習生との共生に向けて ― 信頼構築と支援体制の重要性

技能実習生と起こりがちなトラブルとは?

技能実習生との間では、文化や常識の違いから予期せぬ誤解やすれ違いが生まれることがあります。

ここでは、現場でよく見られるトラブルの事例とその背景を解説します。

言葉は通じても、意図が伝わらない

技能実習生は来日前に日本語を学習していますが、実際の現場で使われる表現や専門用語、曖昧な指示は通じにくいことがあります。

たとえば、「ここ、よろしくね」といった指示は、日本人なら察して動けても、実習生には何をどうすべきか分かりません。

理解していないのに「はい」と返事をするのは、「分からないと言ってはいけない」と思ってしまう心理があるためです。

習慣や価値観の違いが摩擦を生む

時間の感覚や上下関係、職場での距離感、私語への意識、宗教的配慮など、多くの場面で文化の違いが表れます。

たとえば、数分の遅刻を許容する文化から来た実習生が、始業時間に1分遅れただけで叱責されると強いストレスを感じることがあります。

逆に、日本人社員側は「常識がない」と受け取り、評価を下げてしまうこともあるのです。

「冷たい」「馴れ馴れしい」のギャップ

フレンドリーな関係を望む実習生に対し、日本人側が一定の距離を取る対応をすると、「冷たい」「歓迎されていない」と誤解されることがあります。

背景の違いを理解するために|言語・文化・宗教の壁と向き合う

技能実習生との円滑なコミュニケーションを築くためには、単に「日本語をゆっくり話せばよい」というレベルを超え、相手の文化的背景や価値観そのものを理解する姿勢が欠かせません。

このセクションでは、実習生の出身国による違いがどのような誤解を生むのかを解説します。

言語の壁は「単語」より「文脈」の問題

多くの実習生は、日常会話レベルの日本語を使えますが、「指示の真意」を正確に理解するには十分とは言えません。

特に日本語特有の曖昧な表現や敬語、業界用語は、想像以上に障壁になります。さらに、日本語では結論を最後に回す傾向があるため、話の要点がつかみにくいという問題もあります。

たとえば、「これ、終わったら次の作業お願いね」と伝えたとき、「次の作業」が何を指すか明示されていないと、実習生は混乱してしまいます。

文化・価値観の違いはコミュニケーションの土台を揺るがす

職場での態度や礼儀、報告の仕方など、日常の行動の背景には文化的な価値観があります。

例えば、日本では上司への反論は控えるのが一般的ですが、実習生の中には「問題があれば指摘するのが責任」という文化で育った人もいます。

率直な物言いが「生意気」と誤解されたり、逆に指摘しなかったことが「やる気がない」と受け取られたりするケースもあるのです。

また、日本人が大切にする「空気を読む」「察する」文化は、言葉で明確に伝える文化で育った実習生には非常に難解です。

宗教や生活習慣への無理解が関係悪化を招くことも

食事や休日、服装、祈りの時間など、宗教上の制約を持つ実習生も少なくありません。

たとえばイスラム教徒であれば、豚肉やアルコールを口にできない、1日数回の礼拝時間が必要といった事情があります。

これを知らずに無意識のうちに配慮を欠いた行動を取ると、相手を傷つけてしまう恐れがあります。

また、年中行事や家族行事の重要度も日本とは異なるため、理解なく否定してしまうと信頼を損ねてしまいます。

大切なのは、すべてに迎合することではなく、相手の前提に敬意を持つことです。

現場でできる!伝え方の工夫と報連相のコツ

「伝えたはずなのに、伝わっていなかった」という状況は、技能実習生との現場では珍しくありません。

しかし、伝達の仕方を少し工夫するだけで、理解度や対応力は大きく変わってきます。

ここでは、指示・報告・相談の基本を押さえながら、実践しやすい工夫を紹介します。

やさしい日本語でシンプルに伝える

難しい単語や敬語、曖昧な表現は避け、短く明確な言葉で話すことが基本です。

「作業工程を確認したら報告してください」よりも「まず確認する。終わったら教えてください」の方が、実習生にとっては分かりやすくなります。

漢字や抽象的な言い回しは使いすぎず、具体的で日常的な語彙を選びましょう。

一文一指示で、順序を明確に

一度に複数の指示を与えると混乱を招きやすいため、「これをやってから、次にあれをやって」と段階的に伝えるのが効果的です。

また、結論を先に述べることで、相手は全体の流れを理解しやすくなります。

理解度は「聞く」より「言わせる」

「分かった?」と聞くだけでは、本当に理解しているかどうかはわかりません。

むしろ、実習生に自分の言葉で復唱してもらったり、「次に何をしますか?」と問いかけてみることで、理解のズレを確認することができます。

質問しにくい雰囲気を作らないことも大切です。「質問していいよ」ではなく、「これはちょっと難しいから、分からなかったらすぐ教えてね」と、具体的に伝えることで、実習生が安心して声を上げやすくなります。

言葉以外の工夫 |非言語コミュニケーションを活かす

言語の壁を越えるには、言葉そのものだけでなく、表情やしぐさ、視線、態度といった「非言語コミュニケーション」も重要な役割を果たします。

文化が異なる相手であっても、これらの要素を上手に活用すれば、信頼関係の構築やトラブルの回避に大きく貢献します。

表情や態度が「安心感」を生む

言葉が通じにくい相手に対しては、優しい表情や穏やかな声のトーン、うなずきや笑顔といった反応が、非常に大きな意味を持ちます。

たとえ日本語がうまく伝わらなくても、相手が歓迎されているか、怒られているかは表情から察するものです。

逆に、言葉では丁寧に話していても、表情が険しかったり、無反応であったりすると「怒られている」「冷たい」と誤解されることもあります。

ジェスチャーや指差しで直感的に伝える

「ここに置いてください」「これを持ってきてください」などの簡単な指示も、指を差して示すだけで、口頭で説明するよりずっと伝わりやすくなります。

動作を伴って見せる、実際にやってみせるといった指導法は、特に言葉が十分に通じない初期段階で有効です。

ただし、ジェスチャーも文化によって意味が異なる場合があるため、相手の反応を見ながら柔軟に調整しましょう。

実習生の様子から気づく力も大切

相手の表情や態度を観察することも、実は大事なコミュニケーションのひとつです。

「分かっているようで実は分かっていない」場合、実習生は無言になったり、不安そうな顔をしていたりします。

そうしたサインに気づくことができれば、すぐにフォローが可能です。

日本人社員ができること|職場づくりと意識の見直し

技能実習生との良好な関係を築くうえで、日本人社員側の意識や行動も大きなカギを握ります。

受け入れ側の姿勢が変わることで、実習生の安心感や職場全体の雰囲気も大きく変化します。

ここでは、日本人社員としてどのような配慮や取り組みが求められるかを紹介します。

「労働力」ではなく「人」として向き合う

技能実習生は、単なる作業要員ではありません。母国での将来を見据えて日本に来ている一人の若者であり、努力と不安を抱えながら職場に立っています。

そうした背景を尊重し、対等な立場の仲間として接することが、信頼関係の第一歩になります。

「教える」「指示する」といった一方的な関係ではなく、「一緒に仕事を進めていく」という意識で関わることが大切です。

職場全体で情報を共有し、支える

文化や宗教、生活習慣に関する知識は、一部の担当者だけでなく、職場全体で共有することが望まれます。

たとえば、特定の食材がNGである実習生がいる場合、飲食をともなう社内イベントでは全員がその点を把握して配慮する必要があります。

また、困ったときに実習生が相談しやすいよう、担当者を決めたり、1on1の面談機会を設けたりといった制度的な支援も効果的です。

日本人社員への研修も取り入れる

実習生を受け入れる際には、相手の文化や言語の背景を学ぶ社内研修を取り入れるのも有効です。

「なぜ伝わらないのか」「どうして誤解が起きるのか」を知るだけでも、接し方は大きく変わります。

やさしい日本語の使い方や、異文化間の価値観の違いを学ぶ機会を設けることで、現場全体の受け入れ意識を高めることができます。

技能実習生との共生に向けて ― 信頼構築と支援体制の重要性

技能実習生とのコミュニケーションは、単なる言語のやりとりにとどまらず、相手の文化や価値観に寄り添おうとする姿勢が何よりも求められます。

いま、国際化の波は中小企業にも確実に押し寄せており、外国人技能実習生の受け入れは、人手不足への対応を超えて、組織の多様性や将来的な海外展開への布石として注目されています。

そうしたなか、地場企業振興協同組合は、技能実習生の受け入れに取り組む企業を力強く支援する存在です。

インドネシア、ベトナム、スリランカ、中国といった国々の信頼性の高い送り出し機関と連携し、現地では最低5か月にわたる日本語・日本文化の講習を徹底。

来日後も、生活面やメンタルケア、技能面のサポートを継続し、24時間体制で企業と実習生の双方に安心を届けています。

言葉や文化、習慣の違いを超え、共に働き、共に歩む職場をつくるには、受け入れる企業側の前向きな取り組みと、それを支える信頼できるパートナーの存在が不可欠です。

技能実習生と働くことは、制度対応にとどまらず、未来に向けた「共生社会」への実践的な一歩となるはずです。

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