技能実習
2026.02.20
外国人材の受け入れを検討する企業にとって、「特定技能」と「技能実習」のどちらを選ぶかは重要な判断です。
両制度は名称が似ているものの、制度目的や雇用の自由度、在留期間、人材定着の考え方には明確な違いがあります。
そこで本記事では、企業の人事・経営担当者向けに、特定技能と技能実習の違いを制度の目的・実務面・向いている企業像の観点から整理します。
自社に合った制度を見極めるための判断材料として、ぜひ参考にしてください。
目次
特定技能は、人手不足分野で即戦力となる外国人材を雇用することを目的に創設された在留資格です。
ここでは、制度の位置づけと企業側が押さえておくべき基本的な考え方を整理します。
特定技能制度は2019年に導入され、人材育成を目的とする技能実習とは異なり、労働力確保を主眼とした制度です。
外国人を労働者として受け入れる制度であり、雇用契約に基づく就労と、日本人と同等以上の報酬が求められます。
そのため企業にとっては、育成前提ではなく、現場で一定の業務を任せられる人材を採用する制度と位置づけられます。
なお、制度運用を管轄するのは、法務省をはじめとする関係省庁です。
特定技能には1号と2号があり、在留期間や雇用の継続性に違いがあるため、外国人材をどの程度の期間、戦力として確保したいのかという企業の方針によって選択は変わります。
特定技能1号は在留期間が通算5年までで家族帯同が認められていない一方、特定技能2号は在留期間の更新に上限がなく家族帯同も可能であることから、長期雇用を視野に入れやすい制度といえます。
なお、2号の対象分野や運用ルールは段階的に見直されているため、受け入れを検討する際は法務省などの公的情報を確認しながら判断することが重要です。
技能実習制度は、特定技能とは異なり、国際貢献と人材育成を目的として設計された制度です。
まずは制度の考え方を整理し、企業がどのような立場で外国人材を受け入れるのかを確認します。
技能実習制度は、日本の技術・技能・知識を開発途上国へ移転することを目的とした制度で、労働力確保ではなく人材育成を主眼としています。
そのため企業は、単なる雇用主ではなく、実習計画に基づいて技能指導や生活面の管理を行う「実習実施者」としての役割を担います。
実習生は最長5年間在留できますが、原則として転職は認められておらず、制度趣旨に沿った運用が求められます。
制度の監督や運用は 外国人技能実習機構 を中心に、法務省 などの関係機関が担っています。
技能実習制度は、転職が原則認められていないため、一定期間、同一人材を受け入れやすい点が特徴です。
計画的に技能を習得させながら、現場への定着を図りたい企業には適した制度といえます。
一方で、人材育成を目的とする制度である以上、実習計画の作成や技能指導、生活面の管理など、企業側の負担は少なくありません。
制度趣旨に反する運用は指導や行政対応の対象となるため、単なる人手不足対策としての利用には注意が必要です。
特定技能と技能実習は制度目的や運用ルールが異なり、企業の関わり方や活用のしやすさにも違いがあります。
まずは主要な比較ポイントを表で整理します。
| 比較項目 | 特定技能 | 技能実習 |
|---|---|---|
| 制度の目的 | 人手不足分野における労働力確保 | 国際貢献・人材育成 |
| 人材の位置づけ | 即戦力となる労働者 | 技能を習得する実習生 |
| 雇用形態 | 企業との直接雇用 | 実習実施者として受け入れ |
| 在留期間 | 1号:通算5年/2号:上限なし | 最長5年(1号〜3号) |
| 転職の可否 | 原則可能(分野内) | 原則不可 |
| 家族帯同 | 2号のみ可 | 不可 |
| 企業の役割 | 労働者として雇用・管理 | 技能指導・生活管理を含む |
| 主な管轄機関 | 法務省(関係省庁) | 外国人技能実習機構(関係省庁) |
特定技能は即戦力として雇用する制度、技能実習は育成を前提に受け入れる制度です。
人手不足の解消を優先するか、育成を通じた安定運用を重視するかによって、適した制度は異なります。
特定技能と技能実習の違いが表れやすいのが、在留期間と転職可否です。
これらは、人材の定着や教育コストの考え方に影響します。
特定技能は分野内での転職が認められており、特定技能2号では在留期間の更新に上限がないため、継続雇用には労働環境や待遇面での工夫が重要になります。
一方、技能実習は原則転職不可で、最長5年間、同一企業での実習が前提です。
計画的に技能を教えながら人材を確保しやすい反面、指導や管理体制の整備が求められます。
特定技能と技能実習では、初期費用や継続的な管理コスト、手続きの煩雑さに違いがあります。
特定技能は企業による直接雇用が基本となり、紹介会社や登録支援機関を利用する場合を除けば、監理団体費用は発生しません。
一方で、外国人本人への支援義務を自社で行う場合は、生活支援や各種届出などの実務対応が必要となります。
技能実習では、多くの場合、監理団体を通じて受け入れを行うため、監理費や定期監査対応などのコストが継続的に発生します。
その分、手続きや管理を一定程度任せられる反面、制度運用に関するルール遵守が強く求められます。
特定技能と技能実習は、それぞれ制度の性格が異なるため、企業の状況や人材戦略によって向き・不向きが分かれます。
特定技能は、即戦力となる人材を確保したい企業や、将来的に長期雇用を見据えて外国人材を活用したい企業に向いています。
人手不足が深刻な現場や、一定の業務経験を前提とした採用を行いたい場合には、特定技能の方が柔軟に運用しやすい制度です。
一方、技能実習は、比較的安定した受け入れ体制があり、計画的に技能を教えながら人材を育成したい企業に適しています。
長期間同一の人材を受け入れたい場合や、教育体制を整えられる企業にとっては、技能実習が選択肢となるでしょう。
特定技能と技能実習のどちらを選ぶかは、「どちらが優れているか」ではなく、自社の人材課題や運用体制に合っているかで判断することが重要です。
まず確認すべきなのは、人手不足が一時的なものなのか、長期的な課題なのかという点です。
短期間で即戦力を確保したい場合や、将来的に外国人材を中核人材として育てたい場合は、特定技能の方が適しています。
一方、一定期間同じ人材を受け入れ、技能習得を前提に現場を回したい場合は、技能実習の方が運用しやすいケースもあります。
制度選択では、コストや在留期間だけでなく、自社がどこまで管理・教育を担えるかも重要な判断材料になります。
特定技能では、労働者としてのマネジメント力や職場環境づくりが人材定着に直結します。
技能実習の場合は、実習計画に沿った技能指導や生活管理が求められるため、現場任せにできない点に注意が必要です。
外国人受け入れ制度は、社会情勢や人手不足の状況に応じて見直しが行われています。
特に特定技能2号の対象分野拡大など、制度運用は今後も変化する可能性があります。
導入を検討する際は、法務省 などの公的情報を確認しながら、中長期的な人材戦略として制度を選択する視点が重要です。
特定技能と技能実習は、どちらが優れているという制度ではなく、自社の人材課題や将来像に合っているかで選ぶことが重要です。
一方で、制度理解や受け入れ後の運用に不安を感じる企業が多いのも事実です。
そうした場合は、技能実習生の受け入れを長年支援してきた地場企業振興協同組合のような専門機関に相談してみるのも一つの方法です。
海外送出し機関との連携、事前教育、配属後のフォローまで一貫した支援体制が整っており、言葉や文化の違いに対する不安にも対応しています。
制度選択に迷った段階でも、まずは相談することで、自社に合った外国人材活用の方向性が見えてくるはずです。