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技能実習 / 特定技能

技能実習から特定技能へ – 長く働いてもらうための戦略とは

2025.12.05

少子高齢化と労働人口の減少が続く日本において、外国人材の受け入れは企業の存続を左右する重要な経営課題となっています。

中でも「技能実習制度」から「特定技能制度」への移行は、外国人がより長く日本で働き続けるための大きな転機となります。

しかし、ただ制度を切り替えるだけでは長期定着にはつながりません。

制度の違いや移行に向けた支援のあり方を理解し、受け入れる企業自身が長期的な視点で人事戦略を組み立てることが求められています。

本記事では、技能実習と特定技能の違い、スムーズな移行を実現するための施策、そして外国人材に長く活躍してもらうための環境づくりについて、企業の人事担当者向けに詳しく解説します。

さらに、実際に成果を上げている組合の取り組みも紹介しながら、これからの外国人材活用のヒントをお届けします。

目次

  • 技能実習制度と特定技能制度の違い
    • 制度の目的と位置づけの違い
    • 在留期間とキャリアの継続性
    • 雇用の自由度と転職の可否
  • 特定技能へスムーズに移行するためのポイント
    • 評価試験・日本語能力試験のサポート体制を整える
    • 実習中からキャリアプランを共有する
    • 職場環境と生活支援の充実
  • 長く働いてもらうための定着戦略
    • キャリアパスの提示と昇給制度
    • コミュニケーションと異文化理解の促進
    • 受入企業と監理団体の連携強化
  • まとめ|制度理解と企業努力が持続的な雇用を支える

技能実習制度と特定技能制度の違い

まずは、技能実習と特定技能、それぞれの制度の本質的な違いを理解することが重要です。

以下では、制度の基本構造の違いをわかりやすく整理します。

制度の目的と位置づけの違い

技能実習制度は、日本の技術・技能・知識を開発途上国へ移転することを目的とした“国際貢献型”の制度です。

そのため、実習期間を終えたら基本的には帰国することが前提とされています。

一方、特定技能制度は日本国内の人手不足を背景に創設された制度であり、即戦力となる外国人を一定の分野で受け入れる“労働力確保型”の制度です。

制度上も転職が可能で、より自由度の高い就労が認められています。

在留期間とキャリアの継続性

技能実習は最長5年(1号〜3号)までの在留が可能ですが、終了後は原則として帰国が必要です。

これに対し、特定技能1号では通算5年の在留が認められ、特定技能2号に移行すれば在留期間の上限がなくなり、家族帯同も可能になります。

つまり、特定技能制度は外国人が中長期的に日本で生活・就労できる道を開く制度と言えるでしょう。

雇用の自由度と転職の可否

技能実習制度では、原則として転職は認められておらず、技能実習計画に基づいて最初に配属された企業で実習を続けることが求められます。

たとえ職場に課題があったとしても、基本的には他の企業への異動は認められておらず、ごく限られた例外のみが対象となります。

これに対して特定技能制度では、同一分野内であれば転職が可能とされており、一定の条件を満たせば在留資格を維持したまま別の企業で就労することができます。

この制度の柔軟性により、外国人材がより良い待遇や職場環境を求めて職場を変えることも現実的な選択肢となっています。

そのため、受け入れ企業には、魅力的な職場づくりを行うことがこれまで以上に求められます。

明確で公正な評価制度、働きやすい環境、丁寧なサポート体制などを整えることで、「選ばれる職場」として長期定着につなげていくことが重要です。

特定技能へスムーズに移行するためのポイント

技能実習から特定技能への移行には、明確な条件と準備が必要です。

ここでは、実習生が特定技能へスムーズに移行するために企業が押さえるべきポイントを解説します。

評価試験・日本語能力試験のサポート体制を整える

特定技能への移行にあたって必要とされる「技能評価試験」および「日本語能力試験(N4以上)」ですが、技能実習2号を良好に修了した実習生であれば、同一職種・分野であればこれらの試験は原則免除されます。

ただし、異なる分野へ移行したい場合や、特定技能2号を目指す場合は試験対策が必要になります。

企業としては、下記のような支援体制が求められます。

  • 社内での学習時間確保

  • 外部日本語講師の派遣や受講料の補助

  • 試験スケジュールの情報提供

  • 試験に合格した後の在留資格変更手続き支援

実習中からキャリアプランを共有する

実習生が自分の将来像を描けないまま技能実習を終えると、「帰国しか選択肢がない」と感じてしまいます。

そうならないためにも、実習期間中からキャリアの選択肢として特定技能制度を案内し、具体的な将来像を一緒に考えることが重要です。

  • 「実習後もこの会社で働きたい」と思ってもらえる関係構築

  • 特定技能2号への移行可能性やキャリアアップ制度の提示

  • 技術職としての継続雇用のビジョン共有

これらを通じて、外国人材にとって日本で働く未来に希望を持ってもらうことが定着への第一歩となります。

職場環境と生活支援の充実

技能実習から特定技能へ移行した外国人材は、法律上は「労働者」としての立場を持つようになります。

そのため、企業には通常の社員と同等の待遇や労働環境が求められます。

  • 社会保険、労働条件、休暇制度の整備

  • 社宅や住居支援、通勤支援

  • 労働時間・休日の管理や残業手当の明確化

また、外国人にとっては生活面での不安も多いため、生活オリエンテーションや日常的な相談対応も欠かせません。

長く働いてもらうための定着戦略

制度上の移行が完了しても、それだけで外国人材が長期的に定着するわけではありません。

ここでは、企業が取り組むべき実践的な定着戦略を紹介します。

キャリアパスの提示と昇給制度

外国人材も自分の成長を実感できなければ、長期的なモチベーションを維持することが難しくなります。

そのためには、昇格や昇給を含む明確なキャリアパスを提示することが不可欠です。

  • 特定技能1号から2号への移行に向けた支援

  • 資格取得やスキルアップの評価制度

  • 勤務年数に応じた役職や責任の変化の可視化

こうした制度は、外国人材の「自分も会社の一員である」という実感につながり、定着率の向上に大きく貢献します。

コミュニケーションと異文化理解の促進

外国人材の定着には、職場での「孤立感」をいかに減らせるかが重要なポイントです。

言語や文化の違いから生じる誤解を防ぐには、多文化共生を意識した職場づくりが欠かせません。

企業が取り組むべき具体策としては、以下のようなものがあります。

  • やさしい日本語の活用

  • 日本人社員への異文化理解研修

  • 相談しやすい体制の構築

  • 社内イベントやレクリエーションの活用

こうした取り組みを通じて、外国人材が安心して働ける「人とのつながり」を感じられる職場を目指すことが、長期定着の鍵となります。

受入企業と監理団体の連携強化

技能実習から特定技能へ移行する場合、以前の監理団体と企業の関係性は移行後も重要です。

実習中から続く信頼関係を活かし、送り出し機関・監理団体との連携を維持することで、フォロー体制を一貫させることができます。

  • 実習時からの人材の情報共有

  • 問題発生時の即応体制の構築

  • 監理団体による生活・精神面の定期サポート

特に、外国人材本人にとっては、言語・文化に関する不安を相談できる相手がいるというだけでも大きな安心感になります。

まとめ|制度理解と企業努力が持続的な雇用を支える

技能実習制度から特定技能制度へのスムーズな移行と、外国人材の長期定着には、制度の理解だけでなく、企業自身の本気の人材戦略が不可欠です。

キャリアパスの提示、処遇の改善、教育環境の整備を通じて信頼関係を築くことで、外国人材は単なる労働力ではなく、企業を支える存在として活躍し続けてくれます。

その実現には、信頼できる送り出し機関や監理団体の連携が大きな役割を果たします。

地場企業振興協同組合は、インドネシア・ベトナム・スリランカ・中国を中心に、意向を反映した教育を実施する機関と連携し、実績ある支援体制を整えています。

現地では日本人スタッフが最低5ヶ月間にわたって日本語や文化を直接指導し、入国後も生活や業務に関する教育を継続。

配属後は定期訪問や24時間対応のサポート体制で、企業と技能実習生の双方をフォローしています。

制度活用と組織的支援を両立することで、外国人材が企業の戦力として定着する未来が開けます。

御社の外国人雇用の取り組みに、この記事が一助となれば幸いです。

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