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技能実習

技能実習生が企業にもたらす可能性

2025.10.21

少子高齢化が進む日本では、多くの企業が「持続的な人材確保」や「次世代人材の育成」という課題に直面しています。

とくに建設業、製造業、介護分野などでは、経験を持つ人材の育成・継承が急務となっており、企業の発展や現場力の維持に向けた取り組みが求められています。

その一環として注目されてきたのが、外国人技能実習生の受け入れです。

「技能実習生」は技術や知識の共有を通じて、企業と実習生双方に成長の機会をもたらす仕組みです。

本記事では、技能実習制度の最新動向や、制度を通じて得られる多面的な効果を紹介し、技能実習生の受け入れが組織にもたらす可能性を徹底解説します。

国際的な人材育成の視点から、組織の成長戦略の一環として技能実習生をどのように位置づけるべきか、そのヒントを探っていきましょう。

目次

  • 技能実習制度の概要と最新の制度改正
    • 技能実習制度の概要と役割
    • 新制度「育成就労制度」への移行
    • 制度改正の意義
  • 技能実習生の受け入れがもたらすメリット
    • 社内の活性化と多様性の向上
    • 若手社員の育成促進
    • 業務プロセスの改善
    • 社会的評価と国際展開への布石
  • 人事・労務担当者が注意すべき点
    • 労働条件の適正な管理
    • 受け入れ体制と事前準備
    • コミュニケーションと文化的配慮
  • 今後の展望|制度移行で求められる企業の対応
  • さいごに|技能実習生の受け入れは人材戦略の新たな選択肢に

技能実習制度の概要と最新の制度改正

企業が外国人材を受け入れる際、最初に理解しておきたいのが技能実習制度の仕組みと今後の制度改正です。

人手不足対策の一環として語られることが多い制度ですが、本来の目的や背景、そして2027年に始まる新制度「育成就労制度」への移行について整理しておきましょう。

ここからは、技能実習制度の基本と最新の制度改正内容を詳しく解説します。

技能実習制度の概要と役割

技能実習制度は、1993年に創設された国の制度で、当初は開発途上国の若者に日本の技能や知識を習得してもらい、帰国後にその経験を母国の発展に役立ててもらうことを目的として始まりました。

現在では農業、漁業、建設、製造、介護など、特に人材不足が深刻な分野を中心に、約90の職種で活用されています。

実習生は最長で5年間日本に在留できる一方、原則として転職や家族の帯同は認められていません。

このため、現場の即戦力としては大きな役割を果たしてきたものの、制度本来の目的との乖離や、低賃金・長時間労働、さらには人権侵害の問題が社会的課題として指摘されてきました。

新制度「育成就労制度」への移行

日本政府は2024年6月に関連法を成立させ、2027年4月から技能実習制度を廃止し「育成就労制度」を導入、2030年までに完全移行を予定しています。

新制度では従来「国際貢献」とされてきた目的を見直し、人材育成と人材確保を正面から掲げる点が大きな特徴です。

制度内容も刷新され、対象分野は特定技能の16分野に整理されます。

在留期間は最長5年から3年へ短縮される一方、試験合格後に特定技能1号へ移行すれば最長10年程度の就労が可能となります。

さらに、一定条件での同一分野内の転職が認められ、実習生の人権保護や定着率向上に寄与する仕組みも導入されます。

入国時には日本語能力試験N5相当の水準が必須となり、監理体制は新設される「外国人育成就労機構」が強化して担う予定です。

制度改正の意義

こうした改革は、技能実習制度が長年抱えてきた人権侵害や目的との乖離といった問題を是正し、透明性と実効性を高めることを狙っています。

人事担当者にとっては、単に労働力不足を補うためではなく、外国人材を育成し、特定技能を含む長期的なキャリア形成を支援することで、組織に持続的な成長をもたらすチャンスと捉えることが重要です。

技能実習生の受け入れがもたらすメリット

技能実習生を実際に導入した企業からは、職場の雰囲気や教育体制、国際的なネットワーク構築など、多面的な効果が報告されています。

ここでは人事担当者にとって見逃せないメリットを整理します。

社内の活性化と多様性の向上

技能実習生は多くが若く、学ぶ姿勢も意欲的です。

その前向きな姿勢が既存社員への刺激となり、仕事へのモチベーションやチーム全体の士気を高める効果があります。

さらに、異なる文化背景を持つ人材が加わることで、新しい視点や発想が生まれ、組織内に多様性を育む契機となります。

これは、国内市場にとどまらずグローバルな競争を見据える企業にとって大きな強みになります。

若手社員の育成促進

実習生を指導する過程で、日本人の若手社員が「教える立場」を経験することになります。

業務手順を言語化して伝えることは、自らの理解を深める機会であり、指導力やコミュニケーション力を養う実践の場にもなります。

結果として、単なる人手不足解消にとどまらず、日本人社員の成長を促し、社内全体の人材育成力を底上げする効果が期待できます。

業務プロセスの改善

外国人に仕事を理解してもらうためには、曖昧な属人的手法を整理し、明確なマニュアルや教育体制を整える必要があります。

この取り組みは、実習生のためだけでなく日本人社員にとっても業務効率化を促す効果があり、結果的に職場全体の生産性向上や働きやすさにつながります。

実習生の受け入れは、企業の業務改善のトリガーとなり得るのです。

社会的評価と国際展開への布石

技能実習制度は国際協力の側面も持っており、受け入れ企業は「外国人材育成を通じて社会に貢献している」と評価されやすくなります。

さらに、母国に帰国した実習生が将来の取引先やビジネスパートナーとなる可能性もあり、海外ネットワーク形成や企業ブランドの向上につながる点も見逃せません。

人事・労務担当者が注意すべき点

技能実習生の受け入れは、企業にとって貴重な人材確保の手段である一方、適切な法令遵守や職場環境整備が不可欠です。

特に人事・労務担当者は、採用から就業後のサポートまで幅広い領域で責任を担うことになります。

ここでは、受け入れ時に意識すべき主な留意点を解説します。

労働条件の適正な管理

技能実習生は日本人と同じ労働基準法の適用を受けるため、賃金や労働時間、休暇などの条件は日本人と同等以上でなければなりません。

最低賃金を下回る給与や長時間労働を強いることは明確な法令違反であり、発覚すれば監督機関による是正指導や受け入れ停止といった厳しい処分につながります。

受け入れ体制と事前準備

実習生を迎える企業は、技能実習計画の策定や外国人技能実習機構(OTIT)への認定申請といった手続きを事前に行う必要があります。

そのうえで、技能実習責任者・指導員・生活指導員の選任が義務付けられており、現場での教育や生活サポートの体制を整えることが欠かせません。

準備不足のまま受け入れると、定着率の低下や法的トラブルのリスクを高めるため注意が必要です。

コミュニケーションと文化的配慮

実習生の多くは来日時に日本語能力試験N5相当の力を持っていますが、現場で必要な専門用語やニュアンスを理解するには時間がかかります。

そのため、母国語やわかりやすい日本語での説明、相談窓口の設置、通訳支援の導入など、企業が積極的にコミュニケーション環境を整えることが重要です。

また、宗教や生活習慣など文化的な違いを尊重し、職場全体で多様性を受け入れる意識を育むことも、長期的な定着とモチベーション維持につながります。

今後の展望|制度移行で求められる企業の対応

日本政府は2024年6月に関連法を成立させ、2027年4月から技能実習制度を廃止し、新たに「育成就労制度」を導入する方針を示しました。

2030年までに完全移行が予定されており、制度の目的も「国際貢献」から人材育成と人材確保へと明確に転換されます。

新制度では、対象分野を特定技能の16分野に整理し、在留期間は原則3年に変更されます。

ただし試験に合格すれば特定技能1号へ移行でき、最長で10年程度の就労が可能になります。

さらに、条件付きで同一分野内の転職が認められ、入国時には日本語能力試験N5相当の水準を必須とするなど、権利保護と定着支援が強化されます。

こうした変化により、企業はこれまで以上に外国人材に選ばれる職場環境の整備が求められます。

待遇改善や教育体制の充実、多文化共生の推進は、優秀な人材の定着だけでなく、日本人社員の働きやすさや組織力の向上にもつながります。

制度改革は、単なる人手不足解消を超え、中長期的な人材戦略を再構築する好機になるでしょう。

さいごに|技能実習生の受け入れは人材戦略の新たな選択肢に

技能実習生の受け入れは、職場の活性化や社員教育の促進、多文化共生による組織力の強化といったメリットをもたらします。

2027年からは「育成就労制度」が始まり、外国人材の長期就労や転職支援が進むことで、企業には選ばれる職場環境づくりが一層重要になります。

導入に不安を感じる企業は、信頼できる監理団体を活用するのが有効です。

例えば公益社団法人東京都建設事業協会は、東京都知事認可の優良監理団体として、外国人技能実習生受入事業や職業訓練センター、補償コンサルタント事業を展開しています。

さらに送出機関との連携、ベテラン通訳や職員による技能実習生のフォロー体制も充実しており、安心して受け入れを進めたい企業にとって心強い存在です。

企業にとって技能実習生は、即戦力であると同時に将来の人材育成と国際的な関係構築の基盤にもなります。

制度改正をチャンスと捉え、社内外のパートナーと協力しながら、持続的な成長を支える人材戦略に活かしていくことが重要です。

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